2011年03月01日

アマゾン河口の釣り(続編)

(海をあざむく無際限のアマゾン河口。
 水平線の彼方まで、目にとまるものなし。
 
 紺碧の蒼穹には、太陽が狂ったように笑う。
 清冽なとのこ色の水が、膨張してせかれるように走る。
 風が立ち、心地よい。
 
 この広大無辺の水球に遊ぶ、
 釣り人たちは、 

 ドットール(医者)の船に、片山領事、愚息と私、
 それに労働者ひとり。
 
 近くに一艘の僚船。
  
 私は、先ほど推測20キロのシャリョウ(ヒラアジ)
 を取り逃がしたばかりだ。
 
 しかし、落ち込んでいるわけには行かない。
 ドラマは始まったばかりだ。

 前編は、日記が行方不明になり、写真などを掲載して
 お茶をにごし、 ここまでで筆を折っている。)
 
 
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posted by しごきまつ at 12:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月26日

「マダッ!」「いま!」「オソイ!」(最終章)

(醍醐氏の名文、佳境にいる。師匠の教えとは、かくなるもの。よくよく心すべし。)

 と、河合老と私の竿がピクピク、乙女のハートのごとく
 揺れているではないか。
 ふたりともあわてて竿尻をとろうと手を伸ばした。
 その瞬間、
 「まだ!」
 と師匠の叱咤がとんだ。
 「まだ竿をとってはダメ!」
 「ハイ」
 ふたりとも悪戯を叱られた子どもみたいに手を引っ込めた。

 「魚がエサをつついているんです。その時竿を手にとると
  異状が伝わって、魚は離れてしまう。」
 「なるほど」
 
  また、竿先がピクピクする。思わず手が伸びる。
 「マダッ!まだ、まだまだ!」
 と師匠の声で、二人とも手を戻す。
 そのうち、不意に竿先がガクンとおじきをした。
 「いま!」
 と師匠の声が励ます。
 ふたりはあわてて、ガタガタと竿をとって、大あわせに合わせた。
 しかし、
 「オソイッ!」
 と師匠の大声。

 たしかに、なにも手ごたえはなかった。
 

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posted by しごきまつ at 09:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月24日

「名人は顕われず」(前編に続く)

 (醍醐氏の名文を追う。)
 
 よく、「名人は顕われず」という。
 真の名人たるものは、シャリシャリと人前に出て、
 俺は何匹釣ったなどとぺらぺらしゃべらないものだそうだ。
 従って、名人に逢うのはなかなか大変なことなのだ。

 しかし、河合老と私は、幸先よくもこうやって名人に
 逢うことができた。
 
 「さ、行きましょう。」
 人物にうながされるまでもなく、我々は昨夜すでに準備した
 釣道具を氏の車に積む。
 
 人物の車はウイリースである。
 新車ではなく、十分に中古車である。
 この大型乗用車の内部は魚のにおいが充満している。
 魚屋の車のような臭いだ。
 車に乗っただけで、釣りの気分がでるようになっている。
 
 
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posted by しごきまつ at 21:46| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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